研究内容

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研究内容

  • 1.新規血中分子マーカーとしての腫瘍由来循環DNA

    がん患者の血中には腫瘍由来のDNA断片が循環しています。体細胞変異を持つDNA断片は直ちに腫瘍由来循環DNA(ctDNA)であると確定できます。正常DNA断片を含む全DNA断片に対する体細胞変異を持つDNA断片の割合(変異アリル頻度、VAF)を計算すると、がん患者のctDNAを定量的に継続して比較することができます。我々の先行研究から、VAFの変化が刻々と変化するがん患者体内の腫瘍量とよく関連していることがわかりました。現在、我々はctDNAの計測をがん患者体内の腫瘍量を正確かつタイムリーに知るための診断法として確立することを目指しています。

  • 2.TP53遺伝子変異に対するデジタルPCRプローブライブラリーの構築

    TP53がん抑制遺伝子はヒトがんでもっとも頻繁に変異が検出される遺伝子です。したがって、ctDNAを用いたがん診断にはまずTP53遺伝子変異を用いることが重要となります。一般にctDNAのVAFは極めて低く、体内腫瘍量が最大である手術前などの時点でも1%以下であることが知られています。デジタルPCR(dPCR)は、このような超低頻度変異の絶対定量を目的に設計されたシステムであり、ctDNAのVAFが0.01%でも計測することができます。このような高感度システムであるdPCRを用いれば、ほとんどのctDNA計測に対応可能です。一つ一つの腫瘍におけるTP53遺伝子の変異状態に応じた高感度ctDNA測定を迅速に行うために、我々はdPCR用のTP53遺伝子プローブライブラリーの構築を目指しています。

  • 3.遺伝子-タンパクの関連

    近年のクリニカルシークエンスによる診断では、いわゆる「actionable mutation(投薬根拠としての遺伝子変異)」が提供されますが、実際に投薬が行われる、または投薬の効果が認められる患者はごくわずかです。その理由として、遺伝子変異のみでは治療標的であるタンパク機能を予測することが困難であることが考えられています。現在我々は、がん関連遺伝子パネルシークエンスと変異遺伝子に対応するタンパク定量から、その関連の有無について検証を行っています。タンパク定量技術として、当研究室では逆相タンパクアレイ(reverse-phase protein array, RPPA)に関する多くのプロトコルを確立しました。そのため、RPPA解析については国際的にも優位性をもって研究を進めています。

  • 4.ヘリコバクター・ピロリ菌の疫学

    ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は、多くの胃病変の病原体として本邦では除菌の対象となっています。しかしながら、ピロリ菌の関与が想定されるものとして最も致死性が高い疾患である胃がんでは、ピロリ菌の関与は胃がん発生のごく初期までであると考えられています。実際に、我々を含む各国の研究グループからは、ピロリ菌感染は進行胃がんの治療効果にむしろよい影響を与えていることが示されています。一見矛盾するようなこれらのデータから、我々は胃がん治療およびヒト健康におけるピロリ菌感染の役割について疫学的な解析を行っています。

  • 5.肝臓の再生

    肝臓はヒト臓器の中で再生できる数少ない臓器の一つです。しかしながら、どの分画の細胞がその再生に寄与しているかは未知のままでした。先行研究で、我々は肝臓の再生にMulti-lineage differentiating Stress Enduring (Muse) 細胞が専従的な役割をはたしていることを報告しました。現在我々は、Muse細胞の動員によって改善される肝臓の病態と連動するバイオマーカーの同定を目指して研究を進めています。

  • 6.岩手県における人口動態が及ぼす医学研究への影響

    人口減少は今後我が国にとって、もっとも深刻かつ不可避である課題です。実際のところ、岩手県や東北地方などの大都市圏以外での深刻な人口減少はすでに始まっており、国全体のよりも10-20年程度先行していると考えられています。岩手県における医療関連データを用いて、我々は岩手県における人口減少動態をシミュレートし、その動態が今後20-50年で岩手医科大学における医学研究にどのような影響を及ぼすかを検証します。